高脂血症
高脂血症とは
高脂血症は、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪など)が基準値を超え、異常な状態になる生活習慣病の一種です。以前は「高脂血症」や「高コレステロール血症」と呼ばれていましたが、コレステロール値の上昇だけでなく、HDL(善玉コレステロール)の低下も問題視されるため、2007年に現在の名称に変更されました。
日本では、高脂血症の患者数は約400万人に上り、この病気は、症状が現れにくく、痛みなどの自覚がないため、治療の必要性を感じにくいことが特徴です。しかし、放置すると心筋梗塞や脳卒中といった、日本人の死因の約3分の1を占める病気を引き起こす「動脈硬化」につながります。動脈硬化は一度進行すると、現時点では健康な状態に戻す治療法がないため、高脂血症に対しては「早期発見・早期治療」が極めて重要です。
高脂血症になりやすい方
脂質異常症の約8割は、生活習慣の乱れが原因で発症しています。以下のリストに多く当てはまるほど、脂質異常症のリスクが高まります。
- 脂っこい食べ物や甘いものが好き
- 肉や卵、チーズ、アイスクリーム、スナック菓子など、動物性脂肪やコレステロールが多い食品をよく食べる
- 運動不足で、日常的に車移動が多い
- 太っている、または肥満気味
- アルコールを頻繁に飲む
- 外食が多い
- ストレスを感じやすい/ストレスが溜まりがち
- 睡眠が足りない
- 喫煙している
- 家族に脂質異常症(高コレステロール血症)の人がいる
高脂血症の原因
脂質異常症には、大きく分けて2種類あります。体質や遺伝的な要因で引き起こされる「原発性脂質異常症」と、生活習慣の乱れなどが原因で発症する「続発性脂質異常症」です。
続発性脂質異常症
このタイプの脂質異常症は、環境要因や病気、薬剤などの二次的な原因によって引き起こされます。高脂血症の多くは「続発性」に分類され、原因となる病気や薬を取り除いたり、生
活習慣を改善することで症状の改善が期待できます。
生活習慣の乱れ
続発性高脂血症の約8割は、生活習慣の乱れが原因とされています。以下の要因が主な原因です。
- 高カロリー・高脂肪の食事の摂りすぎ
- 脂肪分の多い肉類、卵、バターやチーズ、インスタント食品、果物、甘いお菓子など
- 運動不足
- 肥満
- 喫煙
- アルコールの過剰摂取
- ストレス
疾患
- 甲状腺機能低下症
- 肝臓病
- 糖尿病
- 肥満(特に内臓脂肪型肥満)
- クッシング症候群
- ネフローゼ症候群や慢性腎不全などの腎疾患
薬剤
- ステロイド薬
- 利尿剤
- 経口避妊薬
現発性高脂血症
原発性脂質異常症は、遺伝的な要因により発症する脂質異常です。特に「家族性高コレステロール血症」がよく知られており、若い頃から発症しやすいとされています。この他にも、環境要因や生活習慣が影響し、成人以降に発症する「家族性Ⅲ型高脂血症」など、いくつかの病型に分類されます。原発性脂質異常症は、全ての病型を合わせると、発症率は約100人に1人~2人程度とされています。